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2025.07.23

浜松市の設計事務所が解説する建築基準法改正・4号特例縮小編

静岡県浜松市で新築住宅のデザインを手がけるoro(株)一級建築士事務所です。

「そろそろマイホームを建てたいな」「どんな家がいいんだろう?」と家づくりを考え始めている方にお知らせです。

2025年4月から建物を建てるための法律(建築基準法)が大きく変わりました。

この改正によって、建築コストが上がったり施工期間が延びたり、これから家を建てる人に様々な影響があります。

今回は改正されたポイントのうち「4号特例縮小に伴う建築確認・検査の適用範囲拡大」について解説します。

家を建てる前に必要な「建築確認」って何?

浜松 設計事務所 新築住宅 デザイン

家を建てようと思ったとき、いきなり工事を始めることはできません。まずその家の設計図や計画が建築基準法にきちんと沿っているか、専門家がチェックする必要があり、これを「建築確認」と呼びます。

  • 誰がチェックするの?:家を建てる人(建築主)から委託された建築士が、民間の専門機関に設計図や計算書を送って、チェックしてもらいます。

  • 何を確認するの?:その家が地震に強いか、火事に備えているか、日当たりや風通しはどうか、といったことを確認します。

  • どうなったら工事できるの?:無事にチェックが終わったら「確認済証」という書類が発行されて、初めて工事に取り掛かることができます。

この「建築確認」をしてもらうために「申請」するので、「建築確認申請」や「確認申請」と呼ばれることもあります。

「4号特例」って何?

浜松 設計事務所 新築住宅 デザイン

この建築確認では、建物を用途や規模によって第1号~第4号まで振り分けて、それぞれ異なる基準でチェックしています。

中でも一般的な一戸建ての木造住宅は「4号建築物」というグループに分類されていましたが、1983年ごろの日本には「家を建てたい」と希望する人がたくさんいたため、4号建築物の確認申請が殺到し、人手不足に陥っていました。

そこでもっとスムーズに家づくりを進められるようにしようと「4号建築物に限って建築確認のチェックを一部簡単にしてもよい」という特別なルールが作られました。

これが「4号特例」です。

具体的には、日当たりや風通しなど一部のチェックが省略可能になったり、建物の強さを証明する構造計算書の提出が求められなかったり、といったことがありました。

これは家づくりを早く進めるための、言わば「特別割引制度」のようなものでした。

「4号特例」がなくなるわけじゃない? 新しい分類「新2号建築物」とは

4号特例が変わります- 国土交通省

今回の法律改正のポイントは「これまで4号建築物だった家の分類が変わり、4号特例が適用される範囲が狭まります」ということです。

今までは一般的な一戸建ての木造住宅の多くが「4号建築物」に分類され、「4号特例」という少し簡単な審査で建築確認ができました。

ですがこれからはその4号建築物の分類がなくなり、多くの場合「新2号建築物」という新しいグループに分類されるようになります。

では4号建築物が「新2号建築物」になったことで、具体的に何が変わるのでしょうか。

木造2階建ての家を建てる場合

これまでは「4号特例」で審査が簡単だったかもしれませんが、2025年からは床面積の大きさに関わらず全て「新2号建築物」になります。 そうなると、これまでの建築確認に必要な書類に加えて、以下のものも提出が義務付けられます。

①構造計算書:その家が地震や風にどれだけ強いかを計算して示す書類です。しっかりとした家を建てるために、専門家が構造を計算し、安全性を確認します。

②省エネ性能を示す図書:その家がどれくらい省エネに優れているかを示す書類です。2025年4月から「省エネ基準適合義務化」が始まったのに合わせて、これからの時代は環境に優しく、光熱費も抑えられる家が求められています。

延床面積200㎡(約60坪)を超える木造平屋建ての家を建てる場合

平屋の面積が200㎡を超える場合も、2階建ての家と同じように「新2号建築物」に分類されます。構造計算書や省エネ性能を示す書類の提出が必要です。

つまり2階建ての家や200㎡を超える平屋を建てる場合は、①安全性を計算していること、②省エネについても考えていること、この2つを書類で示す必要があります。

延床面積200㎡以下の木造平屋建ての家を建てる場合

この場合は、「新2号」ではなく「新3号建築物」に分類されます。新3号建築物はこれまでと同じように「4号特例」の考え方が適用されます。つまり一部の審査項目が省略されたまま、建築確認をすることができます。

建築主のメリット・デメリット

浜松 設計事務所 新築住宅 デザイン

新築住宅を建てる人にとって4号特例の縮小はどのような影響があるでしょうか。

メリットは、住まいの安全性が第三者によって公的に審査されるようになったこと。

これまでは、地震や風にどれだけ耐えられるかといった家の強さに関するチェックが、一部簡略化されることがありました。もちろん今までも構造計算や耐震・耐力性の確認はおこなっていましたが、今後は確認検査機関によって厳正に審査されます。

デメリットは、住まいを手に入れるためにさらに時間とお金がかかるようになったこと。

設計士が作成する書類が増えれば、確認検査機関がチェックする時間も当然長くなります。したがって、家づくりを始めてから実際に着工するまでの期間が、今までより延びる可能性があります。

また、作成する書類が増えれば設計士の人件費も上がりますし、地震に強くする追加工事が必要になったり、それに伴って必要な材料が増えたりすることも。

これらが積み重なって、家を建てる人が最終的に支払う総額が高くなる可能性があります。

まとめ

2025年4月1日に建築基準法が改正され、今後確認申請する多くの木造住宅で構造関係既定等の図書や省エネ関連の図書の追加提出が必須になりました。

今回の改正は、住まいをもっと強く、もっと安心できるものにするための変更です。そのために、これまでよりも少しだけ時間と費用がかかるようになる、と考えていただけると分かりやすいかと思います。

家づくりは一生に一度の大きなイベント。

これらの変更点を理解して、設計士としっかり相談しながら、マイホーム計画を進めてください。


oro株式会社は静岡県浜松市を中心に新築・リフォーム・リノベーションのデザインを手がける設計事務所です。

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